こんにちは、いよいよ酒に弱くなっている写真妻です。だが飲むのはやめない。
だって好きなんだもの。仕方ないじゃない。
我が家の畑に、この春、小屋ができました。
建築家の林敬一さん設計の、農機具小屋兼、簡易温室。
ずっと憧れだったんです。好きなんです。小屋が。
小屋。必要最小限のミニマムな機能もたせた建築。
農村地帯や林縁に、風景に溶け込むように、それでいて一種独特の存在感を持って佇んでいる農機具小屋を、誰しも一度は見たことがあるはず。
写真妻、ロケ先でこういった農機具小屋を見るのが大好物でして。
創意工夫と用の美が詰まった小屋を見つけるともう、嬉しいを通り越して嫉妬です。
だから、もし自分たちの菜園を持つことができたら、そこには必ず小屋を作ろうって、ずっと思っていました。
というわけで、念願の。
今回の工事は、材料の調達から施工まで、林さんと夫が、ほとんど二人で行いました。
小屋ですからね。そこらへんもミニマムに。
粘土土壌と格闘した手掘り基礎工事、小石一つ一つ積みながらのレベル出し、部品の不備で急遽機材を積んでバイクで駆けつけてくれた友人のヘビオさんに溶接と研磨をしてもらった夜、寒くてなかなか乾かないなかでの深夜に及ぶコンクリート土間打ち、想像以上に板が重くてみんなの腕が死んだ上棟…
昨年の12月に着工し、なんやかんやと(夫のインフルエンザとか、夫のいっぱいいっぱいとか)ありまして、完成までに約2ヶ月。
いろいろと思い出すだけで泣けてきます。酒ガブガブです。
でもその甲斐あって、アイデアと工夫と愛と執念が詰まった、めっちゃ格好いい小屋ができました。
完成した小屋のなかに椅子を置いて座ってみると、想像以上に居心地が良いのです。
物置小屋、というだけでなく、作業の合間にちょっとひと休みしたり、作業の計画を練ったり、冬期、ちょっとした植物の避難場所になったり、なんだかいろいろな使い方ができそうです。
雨の日には、小屋の椅子に座って、天井のポリカにあたる雨垂れの水紋を眺めたり。
眺めながら、ついついうたた寝したり。
夏期は、小屋の側面や天井にゴーヤだのヘチマだのを這わせたり。
小屋も完成して、いよいよ楽園と成りつつある、我が家のポタジェ。
このポタジェで飲むビールの美味いことったら!
大好きな茨木のり子さんの大好きな「六月」という詩に、こんな一節があります。
「どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終りには一杯の黒麦酒
鍬を立てかけ 籠を置き
男も女も大きなジョッキをかたむける」
初夏、汗をかいた農作業の後、少し涼しくなって甘い青草の匂いの漂う空気。
西の空に広がる夕焼けと、ここで飲むビール。
なんと尊いことでしょう。